視察報告書
自転車活用推進研究会各位殿
過日実施いたしました、世田谷区内の自転車駐車場視察につきまして、以下のとおりご報告申し上げます。
自転車活用推進議員連盟
会長 谷垣 禎一
事務局長 原田 義昭
自転車活用推進研究会
会長 小杉 隆
連絡事務局/(財)社会経済生産性本部・自転車活用推進研究会
小林・太田・鹿野・庭野
105-0003 港区西新橋1-6-15
電話03-3593-0934
FAX03-3593-0930
Kuzuharu@mac.com
第三回「自転車活用推進議員連盟」視察報告
自転車活用推進議員連盟
事務局長 原田 義昭
- ●趣旨
- 中心市街地における先進的な駐輪/貸出システム事例等の視察により、自転車駐車場問題についての理解を深める
- ●日時
- 2003年7月28日(月曜日)14:00〜18:00
- ●行程
-
14:00 集合(衆議院第二議員会館前)
14:15 出発
15:001. 成城学園前駅周辺視察
2. 成城北第2自転車等駐車場(地下式レンタサイクル)視察
〈概要説明〉
世田谷区土木課及び、(株)技研製作所・代表取締役社長 北村精男氏、
同社エコデザイン事業部他)
15:45 移動
16:153. 三軒茶屋駅周辺視察
4. 西友三軒茶屋店自転車置き場(コイン式駐車場)視察
〈概要説明〉
株式会社西友 三軒茶屋店長 内野康子氏
NCD日本コンピューター・ダイナミクス(株)パーキングシステム部5. 三軒茶屋北駐車場(立体式レンタサイクル兼駐車場)視察
17:00 移動
17:30 解散(衆議院第二議員会館前) - ●参加者
- 33名(参加者名簿は別紙参照)
- ●視察内容
-
- 成城学園前駅周辺の状況について
駐車場を確保する上で駅前隣接地に適地が少ないうえ、地価が高いこともあり、駐車場整備がすすまないという、中心市街地に典型的な課題をかかえている。
駅から100m以内の利便性の高い月極駐車場は、登録利用者になるために数年待ちである一方、300m離れた駐車場の稼働率は2、3割程度(平成15年6月末調査時点)と低くなっている。
こうした、利便性の高い場所での慢性的な駐車場不足により、駅前道路沿いには、無秩序に駐輪された自転車が車道、歩道を塞いでおり、通行に困難を来している。放置されたままと見られる自転車も見受けられる。 - 成城北第2自転車等駐車場(地下式レンタサイクル)について
- (1) 特長
①地下を自転車格納スペースとして活用することにより、中心市街地の少ない土地を有効活用することができるとともに、地上部分に設置された入出庫ブースを通じて高速、簡単、安全な入出庫を可能にすることにより利用者の利便性を高めている。
②実験兼用として、開発者の(株)技研が高知工科大学キャンパス設置したものが最初であるが、営業用(世田谷区営)としては初めてのものである。
③地下部分(直径約8メートル、深さ約11メートル)が自転車格納スペースとなっており、114台の自転車を格納することができる(地上部分の入出庫ブースについては図1、地下部分・平面図は図2、同・断面図は図3、同・イメージ図は図4、仕様は表1をそれぞれ参照)。
④自転車の入出庫は、地上部分に設置された入出庫ブースで約10秒/台の短時間で、簡単かつ安全に行うことができる(操作については図5を参照)。
⑤地下式は初期費用が8千万円程度。ランニングコストは年間100万円程度。
- (2) 地下式レンタサイクルの運営状況
- 運営:世田谷区
- 開発者:(株)技研製作所
- 事業開始:平成13年11月
- レンタサイクル台数:144台
- 利用料金:1カ月2,000円/台
- 営業時間:24時間利用可
- 出入庫に要する時間は10秒以内であり、朝のラッシュ時に対応
- 朝、通勤・通学で駅前地下駐車場に返納した自転車を、昼間の買い物や観光用に貸しだし(有名人の邸宅が多いため)、稼働率を高めている
- (3) その他-地下式のメリット等
①地下式は初期費用が通常同規模の10倍〈8千万円程度〉を要するが、中心市街地という駅前適地の取得費、借上費が極端に高い地域では下記のようなメリットがある。
- 地上式、高架式と比べて、要する面積が少ないにもかかわらず、多くの駐車スペースを確保できる。
- このため、土地の取得・借り上げ費用は同規模の駐車場を地上式、高架式により整備した場合に比べるとはるかに安い。
- なお、高架式の場合、日照権の問題などをクリアしなくてはならないが、地下式の場合、こうした問題による社会的コストが発生する心配はない。
- 独自技術である圧入工法により振動・騒音を防いでいるため、中心市街地での敷設にあたってのトラブルを回避することができる
- 運用実績からも、中心市街地である成城学園では、中長期的に見た場合、採算がとれていくと予測されている。
この他にも下記のようなメリットを有している。
- 駐車場での盗難・いたずらの危険がない
- 町の景観を損ねることがない
②なお、技研製作所の北村精男社長は、「場所もとらず、町の美観を損ねず、どんな場所にも設置できる」と、都心の自治体への波及効果に向けて意気込む。また、社長が趣味で集められた自転車の彫刻が地上部分の側面に貼られトレードマークとなっているが、将来はこの地上のシステムデザインも専門家にまかせておしゃれなモニュメントにしたいなどの抱負を語られる。
- (1) 特長
- 三軒茶屋駅周辺の状況について
三軒茶屋駅周辺は都内でも有数の放置自転車地帯になっている。
なお、世田谷区全体で放置自転車の状況を見ると、駅周辺放置自転車台数は12,700台(平成14年10月晴天の平日午前11時頃の調査)となっており、撤去等については、平成14年度で70,000台を撤去、返還台数は43,000台(返還率61.4%)である。およそ4割程度が引き取られることもなく放置されている(台数はいずれも概数)。
世田谷区としては、①自転車等駐車場の環境整備、②適正な自転車利用の啓発、③自転車のルールに反した放置自転車等の撤去という3つの柱により駐車対策を行っている。
三軒茶屋周辺でも、高速道路高架下などをはじめとする駐車場の環境整備に加え、レンタサイクルの整備・普及等による対策をすすめている。
なお、レンタサイクルについて、世田谷区では、区内にレンタサイクルポートを複数設置し、レンタサイクル利用の共用化を図るコミュニティサイクルシステムの構築に向けて取り組んでいる。 - 西友・三軒茶屋店自転車置き場(コイン式駐車場)について
- (1) 特徴
①電磁ロックで車輪を固定するコイン式駐輪機で、ISDN回線を利用した遠隔操作による運営管理等を行っている(パーキングシステム機器・基本構成は図6を参照)。
②西友・三軒茶屋店が無料駐車場として運営していたものを、管理システムを含めたノウハウを持つ日本コンピュータ・ダイナミクス(株)(以下NCDと標記)が有料で借り受けて駐車場運営を行っている。
③西友・三軒茶屋店は人件費等の運営費を削減することができる上、NCDより借地料収入を得ることができる。一方、NCDはシステム開発により駐車場運営コストの徹底した低減による駐車場経営や、経営システムの販売等を各地で展開することにより収益向上をめざしている(NCDの駐車場ビジネスのタイプについては図7を参照)。
④最初の2時間は無料であるため買い物客などの一時利用者に好評である。
また、2時間以上の駐輪については有料(12時間毎に100円/台)であるため、通勤通学用の長時間駐輪者が減り、買い物客が駐輪することのできる機会が増した。 - (2) 運営状況
- 名称;エコステーション21R西友三軒茶屋店
- 駐車場運営;日本コンピュータ・ダイナミクス(株)(NCD)
- 開設;2003年5月26日
- 駐輪台数;400台(自動二輪にも対応)
- 利用料金;2時間以内;無料、2時間以上;有料(12時間毎100円/台)
- 営業時間;24時間利用可
- 防犯カメラによる監視(無人管理)
- 長期にわたる無銭放置など、利用者マナーに起因する課題もある
- (1) 特徴
- 三軒茶屋北駐車場(立体式レンタサイクル兼駐車場)について
- (1) 特長
立体式のレンタサイクル兼自転車駐車場である。導入時点(平成8年5月)では最新式であった。なお、現在、このタイプは練馬区などをはじめかなり普及してきている。
- (2) 運営状況
- 名称;三軒茶屋北駐車場
- 運営;世田谷区
- 開設;平成8年5月
- 台数;レンタル;350台
- 駐車台数;自転車109台
- 利用料金;レンタサイクル;2,000円/台・月、200円/台・日
- 駐車場 2,000円/台・月
- 営業時間;24時間稼動
- (1) 特長
レンタサイクル利用カード
以上
見学の様子
〈成城学園駅前〉〈三軒茶屋駅前〉
- 成城学園前駅周辺の状況について