(以下の文章はNPO自転車活用推進研究会が2013年4月1日に衆議院第2議員会館多目的会議室で開かれた「自転車活用推進議員連盟2013総会」を聞き取ったもので、議員連盟および発言者の了解、添削を受けたものではありません。引用については以上の趣旨に基づき、読者に誤解を与えないようご配慮ください。写真はNPO自転車活用推進研究会会員が撮ったものです。引用転載の際は事務局までご一報いただければ幸いです)
(以下の文章はNPO自転車活用推進研究会が2013年4月1日に衆議院第2議員会館多目的会議室で開かれた「自転車活用推進議員連盟2013総会」を聞き取ったもので、議員連盟および発言者の了解、添削を受けたものではありません。引用については以上の趣旨に基づき、読者に誤解を与えないようご配慮ください。写真はNPO自転車活用推進研究会会員が撮ったものです。引用転載の際は事務局までご一報いただければ幸いです)
この数年間で自転車に対する理解が進んだ。うれしい限り。しかし乗る人が増えることで、付随した問題が起きている。今までは「自転車は歩道」が中心だったが、対人事故が増えてくる。警察は車道原則にするという道交法改正を出す予定。それは適切な流れだと思う。
しかし、そうなると、お子さんを乗せたお母さんに車道を走らせられるのか。スポーツで乗る人が増え、マナーやルールを守ることがなければ、「自転車は危険」「暴走」といわれてしまう。乗る側もルールを考え遵守する必要がある。お母さんが走れるのかという所もある。法規だけでなく道路構造も重要。そこも力を入れて取り組む必要がある。日本を観光立国にしようといわれている中で、自転車活用の工夫の余地はある。昨年の選挙で新たに当選してきた議員にも参加いただいた。選挙区で自転車をいかに生かすか、いかにルールを守って市民生活と両立する必要があるか、日々の生活で感じた方が多いだろう。多くの方にお集まりいただいた。力を入れて議論していきたい。
前回の総会以降、3年間で2回の勉強会を開催したが、さまざまな理由により総会を開くには至らなかった(平成21〈2009〉年11月1日以降の会計報告、了承)。これからは活発に活動していきたい。
自転車はいったん下火になったが、また見直されるようになった。しかし最近は、積極的な方向よりも、他の交通との接触事故の問題が大きく取り上げられるようになっている。交通安全とともに、健康、子どもの教育のためにも、自転車を活用していくときに、口先だけで言うだけではなく、自転車を見直すよいチャンスだと思う。
昭和45(1970)年に「自転車道の整備等に関する法律」が制定された。〔これを受けて整備が始まった〕千葉県銚子から紀伊半島までの1600キロの自転車専用道路(太平洋岸自転車道)がどの程度までできているか聞きたい。3割程度できているようだが、その後4割になったと聞かない。やる気があるのかないのか。琵琶湖一周の自転車道路もどこまで進んだか。谷垣大臣〔法相〕が財務相や国交相を務めている時になぜできなかったのか。役所の感度が悪過ぎる。本気でやらなければこの前の交通関係の法律も通さないでやろうかと思った。
国交省には次回までにまとめていただきたい。議事が終わったらとりあえず報告を頂くことにしたい。
今回45人が新たに入会した。何回か選挙を経て引退された方もいる。次回役員にはやる気のある人に名乗り出ていただきたいが、会長と相談して原田義昭先生に副会長をお願いしたいと思っている。他の新役員は谷垣会長に一任したい(異議なし、役員・メンバーはメンバーリスト参照)。
厳しいご指摘を頂いた。太平洋岸の自転車道と、琵琶湖一周の自転車道の計画があり、進めてきたが、この数年動きがないというご指摘も承知している。原因ははっきり言えないが、大規模自転車道に批判があって慎重になった点もある。このところの健康・環境にも、観光もあるので、これから本気で観光面からの長距離利用も促進してゆきたい。具体的には持ち帰って、新たな動きがあれば報告したいが、今日は「頑張ります」というところで勘弁していただきたい。
初めて聞く人は立派な答弁だと。しかしそんないい加減なことではできようがない。やる気がない。人材が足りないなら国交省の担当から外せばいい。やる気が見えない。きょうにでも局議を開いて方針がどうかと質問で答弁できるのか。このごろは注目されて自転車の事故で騒がれる。このまま放っておいたらいつまでも解決しない。5年で解決するのか、10年で解決するのか。昭和45年に議員立法で法律ができた。美濃部さん(亮吉・東京都知事)の頃からの話。その後のことは何もやっていないのでは。所々やったって自転車道路はつながらないと意味がない。財務省は来ていないが、(自転車道路は)災害の避難道路にもってこい。その地点までたどり着けば命は助かる。もう少し知恵を働かせてほしい。やるんだったらわれわれは協力するが、やらないなら担当を代えたらいい。
歩行者や自転車の交通を重視すべしとの提言が、日本自動車工業会から2回(平成19(2007)年「効果的な交通安全対策の実現のために」、平成21(2009)年「自転車との安全な共存のために」)出ている。自動車メーカーは世界の道路交通事情を知っているから、わが国の現状に危機感を抱いている。2011年、警察庁から「総合対策の推進について」通達が出ている。自転車は「車両」だとあらためて出して、車両であることを自動車等の利用者にも徹底すると言っている。自転車が走れる空間を自動車の車線を減らしてでもつくろう、自転車通行可の歩道(自歩道)は再検討し、パーキングメーターをなくそう、学校との連携、販売店との連携もやると言っている。交通担当だけでなく、警察全体での周知徹底を図るとも言っている。
全交通事故が90万件から70万件に、自転車事故も17万から14万件に減っているが、自転車事故が全体に占める割合は増えている。歩行者との事故も急増しているが、年間に全国で2800件しか報告されていない。13万件を超える自転車がクルマにはねられている事故の対策こそ急がなければならない。自転車の事故はどこで起きているか。歩道を走っている自転車がクルマにはねられている。交差点で起きるし、形は出会い頭。ほとんどが認知ミス。操作ミスによる事故はない。
自転車がクルマと一緒に走っていれば気が付くが、歩道を走っていると気が付かない。そこで国交省と警察庁が共同で研究会を開き、昨年提言(「みんなにやさしい自転車環境—安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた提言—」)を出した。とにかく路面に自転車の走行空間を描け、現場で教えろと言っている。自転車が通れないような自転車通行帯もあり、一見理想的に見えても交差点に入ったときに危険。車道を逆走する自転車は、クルマと同じ方向に対し50倍の事故遭遇率になる。歩道走行は事故を起こす確率が高いという認識を広めなければならない。
歩道を走っていたら事故は減らない。でも車道は怖くて走れないという声もある。クルマのドライバーに自転車を認知させる知恵を出すしかない。今まで造った道は、交差点に来ると、自転車を歩道に上げるものが多かった。最近は交差点でも真っすぐ行かせ、交差点を縦横に自転車が走れる環境をつくることが行われている。ただ駐車違反が多過ぎる。
警察官の自転車も車道を走り始めている。真っ先に警察官が乗る自転車があると、その後ろに一般の自転車も並ぶ。赤信号で警察官が止まるとみな止まる。模範を示すことが必要。英国の例だが、格好いいバイクポリスをつくれば子どもにも人気になり、交通安全の効果は高いのではないか。
ニュージーランドのバスのラッピング広告は、クルマに自転車との安全な距離1.5メートル取れ、取れないなら抜くなと広報している。
ロンドンの同時多発テロで自転車事情が変わった。わが国でも東日本大震災の影響は大きい。
日本では法律で罰則が決まっているが、これは実際にはほとんど適用できない。ドイツなど先進諸国は市の条例で過料を決めている。くわえたばこと同じように条例で反則金が決まっている。
- 超高齢社会・エネルギー高騰時代に対応した交通国家戦略を
- 道路交通における優先順位の明確化を(公共優先・弱者優先・持続可能性重視)
- 子どもにもわかるシンプルなルールと交通規制を
- 人とクルマが交錯する市街地の緩速化を(生活道路のゾーン30化の促進)
- 通学路、住宅地、商店街などから通過交通を排除できる法整備を
5項目提言したいが、特に3番「道交法をシンプルにわかりやすくする」は警察庁が頑張っても法律が変わらないとできない。まさに国会議員の役割だ。
子どもや荷物をのせるカーゴバイクが日本にも入ってきている。日本で作ればもっと安く良いものができるだろう。課題は走る場所。観光道路も必要だが、街なかのことも同時に考えていただきたい。
サイクリストにとって活動しやすいと移り住んでいる人もいるが、道路事情が悪く安全に走れない。もう一つ簡単にできることでサイクルトレイン。白馬では夏の観光客をどう呼び込むか。自転車で来るのはつらいので、松本辺りまで鉄道で来て、そこから自転車で行けるようにしてほしいが、それをJR東日本に言うと「うーん」という感じ。自転車で地域活性化も積極的にやれないかと思い、参加させていただいた。
全国で赤字13路線で日常的に自転車を乗せる所がある。しかしもうかっている路線は一つもない。欧州では決まった時間・車両以外はいいよとなっている。議員立法で変えていただけるとありがたい。
岩城先生のご指導で、自転車活用プロジェクトチーム(PT)の座長をしており、毎日自転車が頭から離れない。大変危ない状況で、路面の悪い国道246号を自転車が走るんだろうとはらはらして見ている。総合的な理解を深めることが大事。お巡りさんもやっと道路を走るようになった。サイクルトレインも大事。私も袋に自転車を入れて出掛ける。きょうも2カ所回って40キロ走ってきた。これで路面もマナーも分かる。
皆さんにも自転車に乗り実体験の中から啓蒙活動をしていただきたい。タンデムなども、障碍者のことを考えると大事。エコで考えれば自転車に勝るものはない。ブルベで300キロを16時間6分で走った。障害物を見つけると指さしで知らせる。合図はママチャリでも大事。日本では曲がるときに終わるまで手を挙げておかねばならないという。しかしこれは危ない。
大分—鹿児島間310キロを16時間で走った。きょうも自転車で来て永田町かいわいを走り回っている。地域ごとに自転車に対する認識が違うなと実体験で感じている。私自身冷や冷やするのは、自転車は車道を走るものと自動車の運転者が認識していない危険。背中にプリントしたTシャツで走ろうかと思うことがある。ダンプカーに15センチまで幅寄せされたことも何度もある。自転車が逆走する危険。
道路の造り方、車道と側溝の段差の造り方、鋭角にはまると転倒などの事故がある。国交省にも車道を自転車が走るんだと意識して道路を造ってもらわないと。自転車環境の改善を目指して頑張りたい。
この問題は二階会長代理のおっしゃる通り、あらゆる分野にわたるもの。本気でやるのかが強く問われている。自転車利用を推進するということは、国民のライフスタイルを変えるということ。あらゆる部署が真剣に取り組まないと実現しない。やる気がないなら担当を代えろとおっしゃったが、これだけ多岐にわたる問題であれば、横串を通す部署をつくって取り組んでいい。たとえば警察。自転車よりも自動車の交通違反の方が重いはずなのに、自動車では青切符、自転車では赤切符でいきなり前科者。これでは普及しない。
どの地域で何をしていますでは済まない。全国一斉にやらなければいけない。この写真に写っているような高荷重の自転車には、日本の技術、アシストが有効だが、製造基準がない。どこを走っていいかの基準もない。かつて地元だった浜松市で、メーカーから役所に相談しても明確な答えが出ない。これを変えれば大きな事業になる。夢を持って取り組んでゆきたい。
観光立国の観点からお願いを。愛媛県では連絡橋・しまなみ海道があり、自転車で渡れる特色がある。海の上をサイクリングできる珍しい橋を観光資源にしたい。瀬戸内海国立公園が初の国立公園に指定され80周年に当たる2014年に合わせてイベントを開催する予定。その一環で、世界的規模でサイクリング大会を予定している。先日の国土交通委員会でも、しまなみ海道での自転車の無料化、プレ大会における車道開放にご協力をお願いした。愛媛県では知事をはじめ首長など自転車を愛好する人が多い。議連としてもツアーを組んで参加していただきたい。
提案を二つほど。
自動車学校の再定義。免許を与える場ではなく、交通ルールを与える場として再定義し、自転車の講義を自動車学校で行ってもらえると、免許を取る時に自転車は車道を走るものと認識できる。
自転車に乗ることで健康増進できるなら、医療費が削減できる。自転車にある程度乗っている社員がいる企業は保険料を下げることができるか。それで自転車の活用を進めていただきたい。
これからの活動について会長の意向を。
きょうはとてもよい意見を頂いた。言いっ放しにせず、議連の中にプロジェクトチームをつくり、活動実現につなげていく必要があるのではないかと感じている。
それでは会長のご意向を受けて、自転車活用の在り方について議連としての提言をまとめるためプロジェクトチームを発足させるので、参加希望者は事務局まで申し出ていただきたい。可及的速やかに活動を開始したい。
広報誌を作り案内している。谷垣会長の就任以来、楽しいサイクリングをするにはということで、会員になる際にルール・マナーを守る認識をもって「三つの誓言」((1)右側通行しません!(2) 歩行者を優先します!(3)夜間・暗所ではライトを必ず点灯します!)をしていただいている。広報誌『CYCLING JAPAN』春号22ページにあるように、会員は事故に備えた保険に入れるようになっている。
(欠席)5月に船橋市で総会を開催するので、議連からの出席をお願いしたい。
自転車の安全利用の啓発を進めている。自転車基本法(自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律)が施行された5月を運動月間にしている。自転車が車道を走るものであることの啓発とともに、ロードレースを開催している。パレード走行で岩城先生に先頭を走っていただきたい。
「CYCLE AID JAPAN」1枚のパンフレットが手元にある。昨年に引き続き本年もご後援名義を頂きお礼を申し上げる。自転車が走ることで復興につなげようとした。震災直後は道路が寸断されガソリンも手に入りにくい中で自転車の便利さが見直された。これから復興していく中で、観光資源に恵まれた被災地に多くの人が訪ねることが復興支援になるのではないか。
タイムを競うのではなく、交通ルールを守って事故なく完走するのが目的。6月1日から。6月8日は福島市・四季の里でゴール。今回はミドルコースを加え参加できる人を増やした。2回目ということで関係自治体にもご協力いただいている。これだけ多くの自転車が、ルールを守れば安全に走れるということをPRしたい。将来の日本にとって自転車が不可欠であることもPRしたい。
熱心な議論に感謝。頑張りましょう。閉会します。
(文責:NPO自転車活用推進研究会)2013年4月11日