3/8まで 緊急にパブリックコメントを送りましょう
2023年2月27日現在(文責:小林成基)
2023年2月22日から募集されている「電気自動車等用充電機器の道路上での設置に関するガイドライン(案)」へのパブリックコメントは2023年3月8日23時59分に締め切られます。電気自動車の普及拡大のために充電器がたくさん必要であることは認めますが、ガソリン車では考えられない路上駐車中の充電を想定した案に強い疑義を感じます。ガソリン車と異なり大規模な装置を必要とせず手軽に充電できるメリットは認めますが、走行するクルマはもちろん、これまで虐げられてきた物流を担うクルマの停める場所さえも奪い、さらにはルールに従って同じ車道を走る自転車や電動キックボードなどの安全快適な走行を妨げ、危険を増大させる可能性のある路上での充電設備の設置は、安全性を軽視し経済にもプラスとならない施策と言わざるを得ません。
下記について、ご賛同いただける方はぜひとも期日までにパブリックコメントしてください。エネルギーが電気になってもクルマの危険は変わりません。道路上での充電を野放しにすれば危険の温床となっている路上駐車を排除する努力が水の泡です。
- ●「電気自動車等用充電機器の道路上での設置に関するガイドライン(案)」(リンク先からダウンロードできます)
- ●パブリックコメントは所定の様式があります。上記から様式もダウンロードできます。様式に従ってたくさんの意見を送り、自転車を軽く扱う道路局の考えを改めさせましょう。
修正意見(案)
※複数案提示しますので、参考にして、ご自身の意見でコメントを出してください。
■解説と私の意見
「電気自動車等用充電機器の道路上での設置に関するガイドライン(案)」では、路上での充電設備の設置について大きく分けて2種類の方法が記載されています。
- 1)ベイ型
- 歩道等(歩道又は自転車歩行者道)と車道が分離されている道路で、車道からくぼんだスペース(ベイ)を設け、充電スペースとする。
- 2)ストレート型
- 車道とは分離されず、車両が駐車していない場合には車両の通行が可能なスペース(主に、パーキング・チケット等が既に運用されている箇所に充電機器を併設することを想定)を充電スペースとする。
そして、〈ベイ型〉を設置しようとする道路に、自転車道や自転車専用通行帯がある場合には、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン(国土交通省道路局、平成28年7月)」を参考に自転車の通行に支障のないよう設置すること、としています。また、〈ストレート型〉では、バスレーンや自転車道、自転車専用通行帯上には、ストレート型の設置は避けるとともに、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」も参考に設置すること、になっています。
ところが、こうした自転車通行などへの配慮を具体化した図は見あたらず、〈ベイ型〉〈ストレート型〉などを示した図には自転車通行の安全をどのように実現すれば良いのか、事例も指針もありません。
具体例を図示すらできない上、これまで、自転車等の通行空間整備の現場において、政府の指針に外れた施策が散見される現状に鑑みると、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」も参考にした配慮を期待することはできず、そもそも路上駐停車を前提とした充電を認めるべきではありません。
パーキング・チケット等の存在が違法な路上駐停車を助長し、円滑な交通の妨げになっていることはいまさら指摘するまでもなく、再三にわたって見直す旨の方針、通達が発せられています。にもかかわらず、路線バスレーンにおいてすらいまだパーキング・チケット等の存在が認められるなかで、これに充電装置を併設することは路上の危険物を固定化することになり交通安全に逆行するものです。
急速充電に限るとしていますが、現在普及途上にあるCHAdeMO方式の所要時間は最低でも30分以上、通常は1時間以上かかり、これを急速と表現するのはきわめて意図的であると思います。
ガソリン車が厳重な安全管理の下で専用のガスステーション給油されているように、電気自動車も安全が担保された駐車場において充電されるべきであろうと考えます。
〈案1〉
- (1)3P-2~5修正要求
- 本ガイドラインでは、電気自動車等用充電機器※1(以下、「充電機器」という。)の道路区域 内での設置のうち、一般交通との影響に留意が必要な車道上や車道に近接した場所を駐車枠※2と し充電機器を設置する場合※3において、道路法第 32 条第1項又は第3項に基づく道路占用許可 申請等の審査をする際に、道路管理者が参考とする事項を示す。
- ↓
- 本ガイドラインでは、電気自動車等用充電機器※1(以下、「充電機器」という。)の道路区域 内での設置のうち、一般交通との影響に留意が必要な車道上や車道に近接した場所を駐車枠※2と し充電機器を設置することは極力避けるべきであるが、地域の事情等によりやむを得ず設置する場合※3において、道路法第 32 条第1項又は第3項に基づく道路占用許可 申請等の審査をする際に、道路管理者が参考とする事項を示す。
- (2)図1をはじめ、すべての図に「自転車道、自転車専用通行帯、自転車通行明示法定外表示」を追加し、充電車両脇を安全に通行できる道路設計のあり方を示すこと。
- (3)4P-15~16修正要求
- ・主に、パーキング・チケット等※2が既に運用されている箇所に充電機器を併設することを想定している。
- ↓
- ・主に、パーキング・チケット等※2が既に運用されており、安全を確保した自転車等の通行空間が確保されている箇所に充電機器を併設することを想定している。
- (4)7P-23~24修正要求
- ・バスレーンや自転車道、自転車専用通行帯上には、ストレート型の設置は避けるとともに、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」も参考に設置すること。
- ↓
- ・バスレーンや自転車道、自転車専用通行帯上には、ストレート型の設置は避けること。
- ◆そもそも自転車道をクルマが走ることはあり得ないのに、わざわざこれを書くのは何か理屈を付けて設置する意図があると疑わざるを得ない。
- (5)11P-2~3修正要求
- 充電機器を設置することで、歩行者利便増進道路制度※1等の道路の利活用に関する地域の計画等に支障が生じる可能性がないか、当該計画等との整合に留意すること。
- ↓
- 充電機器を設置することで、歩行者利便増進道路制度※1等の道路の利活用に関する地域の計画、及び、自転車活用推進計画等に支障が生じる
可能性がないか、ことのないよう当該計画等との整合に留意すること。 - (6)14P-21~23修正要求【参考】
- この点、充電機器等は、道路の構造又は交通に著しい支障を及ぼさない範囲において、道路の通行者又は利用者の利便の増進等を図るために設置されると考えられるため、一定の公共性を 有するものである。
- ↓
- この点、充電機器等は、シェアサイクルの貸出返却ポート同様に、道路の構造又は交通に著しい支障を及ぼさない範囲において、道路の通行者又は利用者の利便の増進等を図るために設置されると考えられるため、一定の公共性を有するものである。
- (7)17P以下については、上記の修正要求に整合する変更をお願いいたします。
〈案2〉
- (P4)8,9行目
- ★ベイ型
- ・ 歩道等(歩道又は自転車歩行者道)と車道が分離されている道路で、車道からくぼんだスペースを設け、充電スペースを設置する類型
- ↓
- (修正)
- ・歩道の一部を切り欠き、車道を通行する自動車、自転車その他の車両の通行に影響を与えない形で駐車できるスペースを設け、その横に充電器を設置する類型
- (理由)
- ・図では、電気自動車が完全に切り欠き(くぼみ)に収まっているが、P4 8,9行目の定義では、一部が車道上にはみ出すような浅い切り欠きも許容されてしまい、ストレート型と区別が付かないおそれがあるため。
- ・自転車歩行者道を前提としている時点で、後段に出てくる「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」に準拠していないため、歩道等ではなく「歩道」とすべきである。
- (P4)15,16行目
- ・主に、パーキング・チケット等※2が既に運用されている箇所に充電機器を併設することを想定している。
- ↓
- (削除)
- (理由)
- ・後段に出てくる「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」によれば、パーキングチケット等を運用している箇所は、ベイ型とすることを推奨しており、現在の運用方法を固定化すべきではないため。
- (P6)5行目
- ・駐車枠の幅は、利用を想定している車両の最大幅を基準に設定すること。
- ↓
- (修正)
- ・ベイ型の切り欠きの幅又はストレート型の駐車枠の幅は、利用を想定している車両のドライバーが、一般的な縦列駐車の技術でもはみ出さずに停車できる幅とすること。
- (理由)
- ・縦列駐車で縁石ギリギリまで寄せる技術を持ち合わせていないドライバーも多いため、余裕を持った幅とすべきである。
- (P6)25,26行目
- ・交差点や横断歩道の近くは、自動車と歩行者等の間の視線を遮る危険性があるため充電スペースの設置を避けること。
- ↓
- (修正)
- ・道路交通法第44条第1項各号又は同法第45条第1項各号に定める場所には、充電スペースを設置しないこと。
- (理由)
- ・交差点や横断歩道の近くは、自動車と歩行者等の間の視線を遮る危険性があるため、道路交通法で駐停車を禁止する範囲を明確に定めている。その範囲に、充電スペースを設置することは適切ではないので、「避ける」ではなく「しないこと」と明確に定めるべきである。
- (P7)15,16行目
- ・自転車道や自転車専用通行帯のある箇所に設置する場合においては、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン(国土交通省道路局、平成 28 年7月)」を参考に自転車の通行に支障のないよう設置すること。
- ↓
- (修正)
- ・自転車道のある箇所、又は自転車道を設ける計画がある道路に設置する場合で充電器を自転車道内に設置するときは、自転車道の幅員を充電器の設置に必要な幅を加えた幅に拡幅すること。
- ・自転車通行帯、自転車専用通行帯のある箇所又はそれらを設ける計画がある道路に設置する場合は、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン(国土交通省道路局、平成28年7月)」を参考に自転車の通行に支障のないよう設置すること。
- (理由)
- ・自転車道のある箇所にベイ型で設置するとした場合、自転車道の左(歩道との間)にベイを設置することは考えづらく、自転車道の右(車道側)への設置となると考えられる。その場合、充電器は自転車道上に設置される可能性がある。
- ・設置することは構わないが、充電器が自転車の円滑な通行を阻害しないよう、自転車道を充電器の幅分だけ拡幅すべきである。
- ・今、自転車道等がなくても、自転車ネットワーク計画で自転車通行区間整備が予定されている箇所には、自転車通行空間整備を同時に行うべきである。
- ・平成31年4月に道路構造令を改正したのであれば、それも踏まえた表現であるべきである。
- (P7)23,24行目
- バスレーンや自転車道、自転車専用通行帯上には、ストレート型の設置は避けるとともに、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」も参考に設置すること。
- ↓
- (修正)
- ・バスレーン上には、ストレート型の設置は避けること。やむを得ず設置する場合は、バス専用の運用がされる時間帯の使用を禁止すること。
- ・自転車道上には、ストレート型の設置はしないこと。
- ・自転車通行帯、自転車専用通行帯上にストレート型の設置をする場合は、自転車通行帯の幅を、駐車枠の幅に2.0mを加えた幅とすること。
- (理由)
- ・バスレーンや自転車道、自転車専用通行帯は、それぞれ、駐車の影響が異なるので、分離して記述すべきである。
- ・バスレーンは、バス専用の運用がされる時間帯に駐車車両があると、機能しなくなるため、少なくともその時間帯の利用は禁止すべきである。
- ・自転車道は、自動車が通行できないため、自転車道上に駐車枠が設けられることはあり得ない。
- ・自転車通行帯、自転車専用通行帯上に設ける場合は、駐車車両があっても、自転車の通行の妨げとならないよう、駐車枠の幅とは別に、自転車通行帯相当の幅を設けるべき。また、ドアオープン事故を避けるため、その幅は自転車通行帯の幅に余裕をもたせた幅とするべきである。
- (P11)の図
- 「車道の一部を転用し歩行空間と充電機器の設置を行ったイメージ」
- ↓
- (修正)
- ・自転車通行帯を記載すべきである。
- (理由)
- ・車道を転用した先が自転車歩行者道前提であっては、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を参考にした整備とは言えないため。
- ・オープンカフェを設ける歩道を自転車が走る状況は、理想的とは言えないためやむを得ず、歩道を自転車が通る運用になることはあっても、ガイドラインに示すべきではない。
以上
路上EV充電、反対意見受け調整…議連総会
自転車活用推進議員連盟(自転車議連=二階俊博会長)が2023年4月5日、衆議院第一議員会館で開いた年次総会で、自活研の疋田智理事は、国土交通省が2月22日から3月8日までパブリックコメントを募集した電気自動車(EV)の充電機器を道路上に設置することを認める施策案について、自転車の活用推進と真逆の取り組みであり、自転車議連としてなんとしても止める必要があると指摘しました。
これに対し自転車活用推進本部事務局長代理を務める国土交通省の久保田誉審議官は「省内でもきちっとご意見を受け止めながら、われわれも自転車活用推進という観点でしっかり調整している」と答えました。自転車議連の金子恭之幹事長は、パブコメにはかなりの反対意見があり、その通りだという認識で、自転車活用推進本部でも対応してもらっているところだと発言しました。